幽霊姫は止まれない!
 聖女の行動は散々の付きまといのお陰でばっちりと把握しているので、次に彼女が通る渡り廊下の近くでこそこそと待機する。
 もちろんヴァルとオスカーの格好で、だ。

 この渡り廊下は宮と宮を繋ぐもので、廊下とはいうが屋根があるだけで足元は庭園に面している兼ね合いで土になっている。
 土とはいってもちゃんと整備され、小石ひとつ紛れ込まないよう毎日チェックされているので躓く心配もないし、屋根があるので雨で泥になったりもしない。
 転んだら擦りむくくらいはするかもしれないが、傷口に小石などが当たったり入る心配はないのでそこも安心だ。

(もちろん足元に縋りついて膝をついても痛くないわ!)
 だからこの場所を選んだのだが。

 うんうん、と自らの計画に満足しながら頷いていると、どこか顔色を悪くしたオスキャルがため息混じりに口を開く。

「エヴァ様、せめて、せめて俺が縋りつく方になりませんか。屈辱的ですが俺もその程度のプライドはもうとっくの昔に捨ててるので全力で縋りついてみせますけど」
「ダメよ、万が一正体がバレたら大変だもの」
「ですが」
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