幽霊姫は止まれない!
そんなことを考えながら一歩、また一歩と登り進め、現実逃避のお陰か無事に染まりキノコまで到達した――はず、だった。
指先には確かにキノコに触れた感覚があったが、うっかり落ちないように木の幹にちゃんとしがみついていたはずの腕が、どうしてか離れ宙を抱いていた。意味が分からない。
「まさか、幻覚作用?」
ポツリとそんな言葉が私の口から零れる。このキノコは一般的なキノコとは違い木に寄生している動物だ、自身の意思を持って相手に幻覚をかけることが可能なのかもしれない。
ぐらりと視界が反転する。あぁ、落ちる。頭から真っ逆さまに転落する自分をどこか他人事のように感じた。
(落ちる時にスローモーションになるって本当だったのね)
痛いかしら。私、どこまで登っていた? 流石にこの高さじゃ死なないわよね? それとも見えている高さも幻覚で見せられているものだったりする?
ギュッと両目を瞑り、来るであろう衝撃に備える。
「エヴァ様!」
けれど、そんな私に聞こえて来たのは私の名前を叫ぶ声だった。
指先には確かにキノコに触れた感覚があったが、うっかり落ちないように木の幹にちゃんとしがみついていたはずの腕が、どうしてか離れ宙を抱いていた。意味が分からない。
「まさか、幻覚作用?」
ポツリとそんな言葉が私の口から零れる。このキノコは一般的なキノコとは違い木に寄生している動物だ、自身の意思を持って相手に幻覚をかけることが可能なのかもしれない。
ぐらりと視界が反転する。あぁ、落ちる。頭から真っ逆さまに転落する自分をどこか他人事のように感じた。
(落ちる時にスローモーションになるって本当だったのね)
痛いかしら。私、どこまで登っていた? 流石にこの高さじゃ死なないわよね? それとも見えている高さも幻覚で見せられているものだったりする?
ギュッと両目を瞑り、来るであろう衝撃に備える。
「エヴァ様!」
けれど、そんな私に聞こえて来たのは私の名前を叫ぶ声だった。