幽霊姫は止まれない!
第五章 きっと誰も悪くないから

第六十話 頼む相手を、さあもう一度!

「貴方、めちゃくちゃ強い騎士なんでしょ。引きこもりの幽霊姫の側にいるって聞いてたから会えないと思ってたけど、こうやって会えたなら王太子じゃなくて貴方でもいいわ、お願い、助けて欲しいの」
「助けてって、言われましても」
「そうでないと三ヶ月後に、この国は流行り病で大量の犠牲者を出しちゃうわ!」
「流行り病……!?」

 それは、聖女から告げられた衝撃の言葉だった。

「ねぇ、納得できないわ」
 思わず強い声色で食い下がってしまう。私のそんな反応に一瞬驚いた表情になった聖女は、すぐにその瞼を伏せて詰め寄るように掴んでいたオスキャルの腕から手を離した。

「そう……ね。突然流行り病なんて言われても納得できないわよね。私、偽聖女だし」
 俯きながらそんなことを口にする彼女に私は顔を左右に振る。

「確かに予言の力が嘘だと確定した今、未来のことをすぐに信じるなんて無理かもしれないわ。でも、今私が言いたいのはそういうことじゃないの」
「エヴァ様?」
 荒げてしまった声色をなるべく落ち着かせ、ゆっくり言い聞かせるように声を出す。
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