幽霊姫は止まれない!
「たまたま、通りがかった男性がいたの」
「男性?」
「その人にこれと同じ薬を貰ったのよ」
コツン、と小さな音を立てて目の前に置かれたのは、紫色の小さな小瓶だった。瓶自体に濃い紫色がついているので、中身が液体であるということしかわからない。
瓶の蓋はには金色の蔦のような装飾があり、赤い薔薇のモチーフが取り付けられている。
ついジロジロと眺めていると、聖女がその瓶を倒れないよう注意を払いつつ軽くつついた。
「特別な特効薬って言ってたわ」
「特効薬?」
「そう。私たちがかかった病の薬だって」
赤い薔薇に蔦という部分で一瞬ローザのことを思い出すが、彼女は魔女と呼ばれこそしているが、魔女の実態は魔力を扱うのに特化した血筋というだけで実のところただの人間である。薬師の真似事ができるなら可能かもしれないが、彼女が作っていたのは体を蝕む病への薬ではなく、恋に効く薬。惚れ薬だった。
日々進化する病に合わせ薬草を配合して作る薬とは違い、伝統を守り魔力も込めて作る特別な薬だ。心への薬へ特化している分、病への対処までできる薬を作れるとは思えない。
所謂〝畑違い〟というやつだろう。
「男性?」
「その人にこれと同じ薬を貰ったのよ」
コツン、と小さな音を立てて目の前に置かれたのは、紫色の小さな小瓶だった。瓶自体に濃い紫色がついているので、中身が液体であるということしかわからない。
瓶の蓋はには金色の蔦のような装飾があり、赤い薔薇のモチーフが取り付けられている。
ついジロジロと眺めていると、聖女がその瓶を倒れないよう注意を払いつつ軽くつついた。
「特別な特効薬って言ってたわ」
「特効薬?」
「そう。私たちがかかった病の薬だって」
赤い薔薇に蔦という部分で一瞬ローザのことを思い出すが、彼女は魔女と呼ばれこそしているが、魔女の実態は魔力を扱うのに特化した血筋というだけで実のところただの人間である。薬師の真似事ができるなら可能かもしれないが、彼女が作っていたのは体を蝕む病への薬ではなく、恋に効く薬。惚れ薬だった。
日々進化する病に合わせ薬草を配合して作る薬とは違い、伝統を守り魔力も込めて作る特別な薬だ。心への薬へ特化している分、病への対処までできる薬を作れるとは思えない。
所謂〝畑違い〟というやつだろう。