幽霊姫は止まれない!
「彼女と出会ったのはたまたまだったんだ。森の入り口から小さな少女が覗き込んでいて」
「えぇ」
「孤児院の子だったようだ。私は無視していたのに、どうしてか懐かれてしまって」
まるで思い出を辿るように紡がれる言葉に耳を傾ける。
(きっとその孤児院が聖女のいた孤児院だったのね。だからきっと薬を譲ったんだわ)
「いつの間にか家の中にも入って来て、図々しいと……そう思う反面彼女が来るのを楽しみにしてしまっている自分がいたんだ」
エルフはあまり種族の仲間意識が高くなく、群れたりはしないと聞く。決して単独を好んでいるわけではないが、退屈しがちで興味が出たものを個々が追うのであまりエルフ同士で集落をつくるということもないとされている。他にも繁殖に対する認識や欲求が低いという言い伝えもあり、それらは全て彼らが長寿だからだ。
だからこそ、そんな長い時間を生きる彼らにとって人間の命とは寿命を全うしたとしても短かっただろう。
(看取る覚悟をしてたと言っていたけど、それはどれほどの覚悟だったのかしら)
「どれくらい、一緒にお過ごしだったんですか?」
「たった四十年だ。それだけしか……一緒に……」
「えぇ」
「孤児院の子だったようだ。私は無視していたのに、どうしてか懐かれてしまって」
まるで思い出を辿るように紡がれる言葉に耳を傾ける。
(きっとその孤児院が聖女のいた孤児院だったのね。だからきっと薬を譲ったんだわ)
「いつの間にか家の中にも入って来て、図々しいと……そう思う反面彼女が来るのを楽しみにしてしまっている自分がいたんだ」
エルフはあまり種族の仲間意識が高くなく、群れたりはしないと聞く。決して単独を好んでいるわけではないが、退屈しがちで興味が出たものを個々が追うのであまりエルフ同士で集落をつくるということもないとされている。他にも繁殖に対する認識や欲求が低いという言い伝えもあり、それらは全て彼らが長寿だからだ。
だからこそ、そんな長い時間を生きる彼らにとって人間の命とは寿命を全うしたとしても短かっただろう。
(看取る覚悟をしてたと言っていたけど、それはどれほどの覚悟だったのかしら)
「どれくらい、一緒にお過ごしだったんですか?」
「たった四十年だ。それだけしか……一緒に……」