幽霊姫は止まれない!
「材料が手に入らないことがわかり、すぐに材料を求めて国境を渡った。病に伏しながらも、いつもしていた刺繍を再開するのが楽しみだと笑いながら見送ってくれたんだ」
(そのまま、再開できるこのはなかったのね)
持ち主のいなくなった刺繍枠も、持ち主が再開するのを待っているように見えて胸が締め付けられる。
そっとその机の前で両手を合わせた時だった。
積み重ねられた本の一番下、その本に何かが挟まっていることに気が付く。最初はしおりか何かだろうと思ったが、それにしては少し分厚い気がしてやたらと気になった。
まるで何かに誘導されるかのように気付けばその本へと手を伸ばしてしまう。
間に挟まっていたのは、四つ折りにされた手紙のようだった。
流石に手紙にまで降れるわけにはいかず、本を広げたままエルフの方を振り返ると、驚きに目を見開いている。
「これ、貴方宛よ」
「だ、だが私は彼女の最期を看取れなかった。手紙なんて、読む、資格は」
「でも、きっと彼女は読んで欲しいと思うわ。その願いを叶えてはあげないの?」
「……ッ」
私の言葉にハッとした顔をした彼が震える手で手紙を受け取る。
(そのまま、再開できるこのはなかったのね)
持ち主のいなくなった刺繍枠も、持ち主が再開するのを待っているように見えて胸が締め付けられる。
そっとその机の前で両手を合わせた時だった。
積み重ねられた本の一番下、その本に何かが挟まっていることに気が付く。最初はしおりか何かだろうと思ったが、それにしては少し分厚い気がしてやたらと気になった。
まるで何かに誘導されるかのように気付けばその本へと手を伸ばしてしまう。
間に挟まっていたのは、四つ折りにされた手紙のようだった。
流石に手紙にまで降れるわけにはいかず、本を広げたままエルフの方を振り返ると、驚きに目を見開いている。
「これ、貴方宛よ」
「だ、だが私は彼女の最期を看取れなかった。手紙なんて、読む、資格は」
「でも、きっと彼女は読んで欲しいと思うわ。その願いを叶えてはあげないの?」
「……ッ」
私の言葉にハッとした顔をした彼が震える手で手紙を受け取る。