幽霊姫は止まれない!
幕間・五 アルフォードとメイル
それは今から五十年ほど前のことだった。
「ひぇ! 動く彫刻!」
そんな声がし、その声の方を向くと思い切り石が投げつけられる。石を投げたのは五歳くらいの赤子だった。
当然赤子の攻撃など避けるのはたやすく、同時に赤子のすることに怒るほど私は狭量ではない。
だが赤子の相手をする必要性も感じないのでそのまま無視をし家へ帰った。
しかしその赤子は次の日も、その次の日も目の前に現れた。
最初は遠くから石を投げつけてきたのに、こちらが相手にしていないとわかるとそれが不満だったのかどんどん近くまでやってくるようになった。
私の腕をつついた時は、「柔らかい」と驚いていたのでどうやら本当にこの赤子は私のことを動く彫刻だと思っていたのだろう。
そのことが可笑しく、つい小さく笑うとその赤子がまるで花が綻ぶように微笑んだのを覚えている。
何年もかけて赤子は私との距離を詰めてきた。私も、どうしてかそれが嫌ではなかった。
気付けば赤子が私の元へ通い出して十年がたっていた。
「ひぇ! 動く彫刻!」
そんな声がし、その声の方を向くと思い切り石が投げつけられる。石を投げたのは五歳くらいの赤子だった。
当然赤子の攻撃など避けるのはたやすく、同時に赤子のすることに怒るほど私は狭量ではない。
だが赤子の相手をする必要性も感じないのでそのまま無視をし家へ帰った。
しかしその赤子は次の日も、その次の日も目の前に現れた。
最初は遠くから石を投げつけてきたのに、こちらが相手にしていないとわかるとそれが不満だったのかどんどん近くまでやってくるようになった。
私の腕をつついた時は、「柔らかい」と驚いていたのでどうやら本当にこの赤子は私のことを動く彫刻だと思っていたのだろう。
そのことが可笑しく、つい小さく笑うとその赤子がまるで花が綻ぶように微笑んだのを覚えている。
何年もかけて赤子は私との距離を詰めてきた。私も、どうしてかそれが嫌ではなかった。
気付けば赤子が私の元へ通い出して十年がたっていた。