幽霊姫は止まれない!

第八話 その作戦に乗りましょう。表向きは

 足はそんなに速くないらしく、ゴーレムの姿がみるみるうちに小さくなる。そして完全に撒いたところでやっと地面へと下ろされた。
「どういうつもりですか?」
 はぁ、と少し呆れ顔でため息を吐いたオスキャルにそう聞かれ、私は革袋から図解書を取り出した。
「やっぱりそうだわ」
「何がです?」
「最後の材料。この頭上って、ゴーレムの頭上みたい」
 生息範囲が不明で、でもこの森で採れる最後の材料。それはどうやら移動するゴーレムの頭上に咲く花だったらしい。
「まぁ、ゴーレムって魔力を帯びた土の塊ですし、あり得なくはないですね」
 私の話を聞いたオスキャルも頷いて同意してくれる。ゴーレムの頭上にしか咲かないのか、魔力を栄養源にして成長する花で、だからゴーレムの頭上に咲いたのかはわからないが、探し回ってやっと見つけた最後の材料だ。泥人形なのだからゴーレム自体は再び作れるのだろうが、花は他に咲いているのかも、どれくらいの期間で咲くのかもわからない以上万一にも傷つけるわけにはいかなかった。
「なんとかしてあの花、摘めないかしら?」
「危険です」
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