幽霊姫は止まれない!

第八十一話 俺はニンジンを食べられるタイプなんだ

(でもこのまま騎士しか選べないとしても。どんな騎士になるかは俺の経験で決まるのか)
 ニンジンがたくさん食べられる騎士になってもいい。

 彼女と今出会うという経験をしたことで、俺はニンジンを改めて意識した。今までは好きでも嫌いでもなかったニンジンだけど、『たくさん食べて、美味しいニンジン料理を探す』ことができる騎士だ。
 将来どんな騎士(自分)になるのかも、悩みの大きさを決めるのも、全部全部、俺自身なのだ。

「まぁ、私からしたら貴方の悩みなんてちっぽけよ」
「ち、ちっぽけ!?」
 先ほどの感動を全て覆すような結論を投げられ愕然とする。

 今思えば、この時から俺はエヴァ様に振り回される運命だったのかもしれない。けど。
 
「そう。ちっぽけ。でも、そのちっぽけな悩みが貴方にとってはとても大きいんでしょ。だったら堂々と傷付いたって言えばいいわ」
「そんなことを言っても、三男である俺なんて価値がないんだ。相手にされないに決まってる」
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