幽霊姫は止まれない!
「相手にされるかされないかは相手によると思うけどね。でも、貴方は相手にして欲しいと思ってるんだから言えばいいじゃない。それでも相手にされなくて悲しくなったならまたここにくればいいわ」
「この庭に?」
「そう。私が貴方の相手をしてあげる。貴方のそう大きな悩みを、私も一緒に悩んであげる。誰にも相手にされなかったとしても、私が必ずどんな時も貴方を一番に選んであげるわ」
「俺を、一番に?」
「そう。貴方は今この瞬間から私の唯一よ」
「俺が、唯一?」

 それと同じくらい、俺の幸福な人生を自覚した瞬間でもあったのだ。

「じゃあ、俺も。俺も君を唯一にする」
「ふふ。じゃあ私たちはお互いに一番ね」

 そんな幼い約束が、今でもずっと一番大事な約束だった。

 その後はひとしきりくだらない会話をし、そしてまるで風のように、今度はひとり走り去ってしまった彼女。
 俺はというと、幽霊姫の庭園でぼんやりしているところを父親に見つかりゲンコツが落ちた。
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