幽霊姫は止まれない!
 まぁ、ふたを開けてみれば、噂自体はエヴァ様が否定しなかったせいで増長したものだったし、むしろ彼女はそれをいいことによく王城を抜け出していたのだが、当時の俺が知ることはできなかったのでそこは仕方ない。

 そしてそんな俺の願いが叶い、とうとうエヴァ様が自身の護衛を選ぶ日がやって来たのだ。

 ◇◇◇

 エヴァ様と彼女の庭園で偶然の遭遇をしてから七年。

 童話や小説のように騎士と姫が並び立つ未来ないと知った俺は、せめて俺が女性でエヴァ様が王子だったらあり得たのだろうか、なんて拗らせた想いを胸の奥に封印し鍛錬を続けていた。

 そもそも俺は伯爵家という、それなりに大きな実家のお陰で剣術の師範には困らなかった。
 伯爵家の騎士団が人数少なめなのはウチの家計が火の車なのかと思っていたが実際は騎士団長が元近衛騎士で、年ゆえに近衛騎士を早めに辞しただけの剣豪だったからという運も味方し剣術の腕を磨きに磨いた。
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