幽霊姫は止まれない!
 枠が三人ならば強さだけでなく年齢や経歴、他の護衛たちとの相性も選ばれるかもしれない。

 そもそも今から選ばれるのだろうか。それとも秘密裏に陛下たちがもう決めていて、この場はただ結果を発表されるだけ?

 いつ始まってもおかしくない任命式の雰囲気に、思わずごくりと唾を呑む。
 彼女は忘れてしまっているかもしれないあの日の約束。

 だがその約束が、腐りかけていた俺を再び立たせ、そしてこの場へ導いたのだ。

 バクバクと激しく鳴る心臓がうるさくてたまらない。
 最後に会ったのは彼女が九歳の時だった。幽霊姫と呼ばれるだけあり、積極的てに王城で開かれる夜会には訓練の合間をみて父について行ったが、一度も彼女に会えることはなかった。

 だから今日会えたなら、七年ぶりの再会だ。
(いや、うん。覚えてない、覚えてないと思うし……それに俺も色以外でわかるかはわからないし!)

 九歳の少女は十六歳の淑女になっているだろう。九歳の時点であれほど快活かつ聡明だったのだ。自分の意見をハッキリ言える彼女のこと、きっとその利発さはそのままに、輝くような美しい姫君になっているはず。

 まさに深窓の令嬢──
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