幽霊姫は止まれない!
 一番その事実を利用していたのが私自身だからこそ、向けられる悪意もわかっていた。それでも。

「私はもう子供ではありません。王族の一員として、どんな蔑みも華麗にかわしてみせましょう」
「そう、か」
 私のその決意を聞き、兄も頷く。少し目は潤んでいる気がするのは、やはりシスコンを拗らせているからかもしれない。

 ◇◇◇

 サイラス様が来られるという日はあっという間に来た。
 それはつまり、オスキャルのいない日常を過ごしたということでもあったが、私が正式に自国の夜会へ出席するということでバタバタとし、退屈だとは感じず過ごせたのはありがたかった。

(だってオスキャルがいないんだもの。毎日がつまらないわ)
 けれど、これからはそれが当たり前になっていくのだろう。

 私が夜会に出る、と決めたことでだれよりも張り切ったのは姉たちだった。
 はじめての正式な夜会だからこそ、王女だと見せつけるべくドレスをお揃いにすると言い出したのである。

(普通はパートナーとお揃いにするんだろうけど)
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