幽霊姫は止まれない!
第九十九話 最善を最高にする努力
「悪いところがないなんて、最高じゃないですか?」
「だが、ほぼ初対面でプロポーズまでするか?」
「政略結婚ならこんなものじゃないですかね」
「だが私は、エヴァには好きな人と──、いや、その」
言ってからしまった、と思ったのだろう。
慌てて言葉を切り、もごもごとする。
どうやら私がオスキャルを好きだったことは、兄にまでバレバレだったらしい。
そして国のためにとその気持ちを捨てる決意をしたことも。
(本当に、お兄様ったら)
いつもは王太子として誰よりも凛とした姿の兄の、その様子にふっと笑みを溢した私は、そのまま兄に抱き着いた。
「サイラス様はとても素敵な人でした。きっと、好きになれると思います」
「本当に、あいつを選ぶのか?」
「幽霊姫を選んでくれる人は貴重ですよ」
「だがエヴァを誰よりも好きだったのは……」
「サイラス様です。いつか誰よりもサイラス様の好きな女性になりますよ」
私の明らかな嘘に、兄も口を閉ざす。
黙った兄を立たせるように、先に立った私が手を差し伸べると体重をかけないよう気をつけながら立ち上がった。
「だが、ほぼ初対面でプロポーズまでするか?」
「政略結婚ならこんなものじゃないですかね」
「だが私は、エヴァには好きな人と──、いや、その」
言ってからしまった、と思ったのだろう。
慌てて言葉を切り、もごもごとする。
どうやら私がオスキャルを好きだったことは、兄にまでバレバレだったらしい。
そして国のためにとその気持ちを捨てる決意をしたことも。
(本当に、お兄様ったら)
いつもは王太子として誰よりも凛とした姿の兄の、その様子にふっと笑みを溢した私は、そのまま兄に抱き着いた。
「サイラス様はとても素敵な人でした。きっと、好きになれると思います」
「本当に、あいつを選ぶのか?」
「幽霊姫を選んでくれる人は貴重ですよ」
「だがエヴァを誰よりも好きだったのは……」
「サイラス様です。いつか誰よりもサイラス様の好きな女性になりますよ」
私の明らかな嘘に、兄も口を閉ざす。
黙った兄を立たせるように、先に立った私が手を差し伸べると体重をかけないよう気をつけながら立ち上がった。