幽霊姫は止まれない!
第百六話 笑いと涙のそのわけは
「壊れた?」
さっきまで散々な態度だったのに、突然笑い出したノルベルト公爵に愕然としながら思わずそんなことを呟く。
ボソリと漏れた独り言だったのだが、どうやら聞こえてしまっていたらしく、ギロリと睨まれ肩をすくめた。
だが、さっきの大笑いのせいで夜会開始時のような恐怖心はない。
(でも、どうして笑い出したのかしら)
混乱する頭でノルベルト公爵の様子を窺っていると、私の視線から逃げるように彼がそっぽを向く。
そして気恥ずかしそうに、人差し指で頬をかいた。
「まぁ、踊ると言うならそれでも構わない。一曲くらいなら付き合いましょう」
(え! まさかのそれで機嫌がいいってこと!?)
これだけツンケンしていたのに? と驚愕しながらサイラスの方を見ると、少し考え込むように黙っていた彼が大きくため息を吐く。
「……もしかして、『よく、来られたな』ってのは」
「? 今まで一度も来なかったのだ。来るのに勇気が必要だったろうことを労っただけだが」
「え! どの面下げて来たんだって意味じゃなく!?」
さっきまで散々な態度だったのに、突然笑い出したノルベルト公爵に愕然としながら思わずそんなことを呟く。
ボソリと漏れた独り言だったのだが、どうやら聞こえてしまっていたらしく、ギロリと睨まれ肩をすくめた。
だが、さっきの大笑いのせいで夜会開始時のような恐怖心はない。
(でも、どうして笑い出したのかしら)
混乱する頭でノルベルト公爵の様子を窺っていると、私の視線から逃げるように彼がそっぽを向く。
そして気恥ずかしそうに、人差し指で頬をかいた。
「まぁ、踊ると言うならそれでも構わない。一曲くらいなら付き合いましょう」
(え! まさかのそれで機嫌がいいってこと!?)
これだけツンケンしていたのに? と驚愕しながらサイラスの方を見ると、少し考え込むように黙っていた彼が大きくため息を吐く。
「……もしかして、『よく、来られたな』ってのは」
「? 今まで一度も来なかったのだ。来るのに勇気が必要だったろうことを労っただけだが」
「え! どの面下げて来たんだって意味じゃなく!?」