幽霊姫は止まれない!
 きゃいきゃいと言い合いをするふたりの姿がじわりと滲む。

 その小物感たっぷりな言葉回しも、私を守るためだけに作られたこの硬い手も、その何もかもが愛おしい。
 ――オスキャル。

(オスキャルだ。オスキャルだ、オスキャルだ、オスキャルだ!)

 ずっと凪いでいた心がわざめき、そして喜びの熱量に胸がいっぱいで溢れ出しそう。
 あぁ、私はどこまで最低な王女なのだろう。

 王妃の命を奪い、更には欠陥品として生まれ、いつか駒になるからと我がまま放題をしたダメ王女。
 この国の恥間違いなし、いや、もう大罪人だ。

 だってどうしても、彼だけが私の心を躍らせるから。

「へぇ、どう無敵なの? ソードマスターの武力で制圧されちゃう? でも友好国の王子にいいの?」
「カウンターすごいですね!? でも利きませんけど! だって俺、攫うって決めちゃったんで」
 フンッとまるで子供のように顔を逸らしたオスキャルが、流れるような動きで私を抱え上げる。
 そして、叱られた子犬のように見つめてきた。

「すみません、エヴァ様。俺はやっぱり貴女を諦められないから、俺と駆け落ちしてください」
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