幽霊姫は止まれない!
 だが、そんな私たちの姿を見て、兄が大きすぎるため息を吐いた。

「はぁぁぁああ、あーーーーー。いい、駆け落ちはするな。しなくていい」
「だって。よかったね」
 頭を抱えて項垂れる兄を可笑しそうに見ながら、サイラスがくつくつと笑う。
 本当にこの王子様は笑い上戸だ。

「ま、俺も駆け落ちしなくていいと思うよ。世界中を旅するのもふたりには似合いそうだけどさ。でも、どこかに腰を落ち着けて、国民たちに寄り添う方が向いてそうだ」
「寄り添う、ですか?」
「市場での様子を見たけどさ、みんなエヴァちゃんって呼んで楽しそうにしてただろ。貴族のプライドももちろん大事だけど、だからこそ平民との間には壁がある。そこを繋げられる、いい存在になると思うけど」

(みんなを、繋ぐ……)

 確かに、平民のために動き、彼らの前に立つ貴族はいても、平民と並んで立ち上がる貴族はいない。いても、足並みを揃えられない貴族として他の貴族からは疎まれてしまう。
 だが、王族の私なら。

 平民の生活を知り、そして王族としても生きてきた私だからこそできる、そんな道があるのだろうか。
< 622 / 629 >

この作品をシェア

pagetop