幽霊姫は止まれない!
 深い藍色のドレスに、サファイアのアクセサリー。このままふたりで夜会に出れば、私とオスキャルが恋人同士なのだと勘違いする者が出そうなレベルである。
(まぁ、夜会なんて面倒なもの絶対出ないけど!)
 そしてこの作戦は大成功だったらしく、扉の外で待っていたオスキャルは、現れた私を見てポカンと口を開けてしまった。完全に放心状態だ。

「ふふん、どうかしら?」
「え、あ、いや、その……」
「私、オスキャルの瞳の色気に入っているの。だから全身オスキャルの瞳の色にしたわよ」
「お、俺の、色……っ?」

 私の説明にじわりと顔を赤らめオロオロとしだす彼を見てくすりと笑う。こうしていると彼もただの二十二歳の青年なのだと実感させられた。何故か少し嬉しそうにも見えるオスキャルにわりと満足した私だったが、もちろん仕返しはこれで終わりではない。最後までキッチリと彼を地獄へ落とすべく、ポンッとオスキャルの肩に手を乗せる。
「じゃあ行きましょうか。父の元へ」
「あ、はい、行きましょう。陛下の……ちょ、ちょっと待ってくださいエヴァ様!? これはまずい、誤解される!」
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