幽霊姫は止まれない!
「あら、大丈夫よ。ちゃーんと、『オスキャルは関係ないわ。でも私が彼の瞳の色を纏いたかったの』って説明してあげるから」
「やめてください、殺される!」
「そんな物騒なことにはならないわよ。……多分」
「一番信用ならない言葉が付け加えられたぁッ」
 赤らめていた顔を一気に青ざめさせたオスキャルに吹き出しそうになりながら、父の執務室目指して歩く始めると、ソードマスターのくせに足をもつれさせながらオスキャルが追いかけてくる。
 ほらみろ、ざまぁ成功だ。

「失礼いたします。エーヴァファリン、参りました」
 父の執務室の扉の前に立っていた侍従にノックをして貰い、名乗りをあげる。侍従が私とオスキャルを高速で三度も見比べたので、この意趣返しが大成功だったと改めて実感しつつ、「あ、これ私にもダメージ入るやつ?」と明日以降に流れるだろう噂に気が付いた。
(けどまぁ、私、幽霊姫だもんね)
< 72 / 570 >

この作品をシェア

pagetop