幽霊姫は止まれない!
思わず本音がポロリしかかったものの寸前で堪え、にこりと微笑む。相変わらず私に激甘な父はポロリしてしまった部分はスルーしてくれた。
「当然断る。当然断るつもりなのだが……一応エヴァの意見も聞いておかねばと思ってな」
「ありがとうございます、お父様」
王族の結婚は政略的なものが多い。相手が国外の貴族であれば尚のこと、数々の打算や家門への利益を考慮されたものだろう。
もちろん恋愛結婚が絶対にあり得ないとは言わない。今のこの平和な世の中では現実的ではないが、戦争での活躍に対する褒賞として騎士が王女を望んだ――なんていう物語はとてもロマンチックだと城下町の間で話題になっており、私もその本を読んだことがあった。
(でも、私、誰にも会ってないのよね)
公務もサボらずしっかりこなしているふたりの姉のどちらかにこの申込が入ったのなら、どこかで見かけた姉に一目惚れして……なんて展開だってあり得ただろうが、私は忘れ去られた亡霊の『幽霊姫』なのだ。外で遊んでいる姿を万一見られていたのだとしても、その令嬢が王女だとは繋がらないだろう。
それに、気になることがもうひとつ。
「当然断る。当然断るつもりなのだが……一応エヴァの意見も聞いておかねばと思ってな」
「ありがとうございます、お父様」
王族の結婚は政略的なものが多い。相手が国外の貴族であれば尚のこと、数々の打算や家門への利益を考慮されたものだろう。
もちろん恋愛結婚が絶対にあり得ないとは言わない。今のこの平和な世の中では現実的ではないが、戦争での活躍に対する褒賞として騎士が王女を望んだ――なんていう物語はとてもロマンチックだと城下町の間で話題になっており、私もその本を読んだことがあった。
(でも、私、誰にも会ってないのよね)
公務もサボらずしっかりこなしているふたりの姉のどちらかにこの申込が入ったのなら、どこかで見かけた姉に一目惚れして……なんて展開だってあり得ただろうが、私は忘れ去られた亡霊の『幽霊姫』なのだ。外で遊んでいる姿を万一見られていたのだとしても、その令嬢が王女だとは繋がらないだろう。
それに、気になることがもうひとつ。