幽霊姫は止まれない!
「権力圧に屈するなんて騎士としてあるまじき行いだ、とかも言われてません?」
「おかしすぎるわね。それだと私が権力で貴方に圧力をかけているみたいじゃない」
「かけてますよね」
「かけてないわよ」

 オーラで平然と王女の攻撃を弾き返すような騎士に、私程度の圧力で効果があるわけないだろう。心外だ。
 オスキャルの言い分にムスッとし口を結んだ私だが、すぐに諦めてため息を吐いた。彼には後で時間外労働という……以下略。

 そんな不毛な言い合いをしつつ、結局最後まで意見のすり合わせはできなかったものの、なんとか私室へ戻って来た私たち。
当たり前のように扉の前で頭を下げ、部屋の外で待機しようとするオスキャルの腕を引いて私室の中へと誘導する。そのことに驚いたオスキャルが一気に頬を赤らめ、私はそんな彼を見て首を傾げた。彼にとって私の部屋なんて珍しくもないだろう。

「どうしたのよ、いつも入って来てるじゃない」
「そのドレスで誤解を招く言い方しないで貰えます!? そろそろ物理的に首が飛びそうなんで!」
「あら。冗談が上手いわね」
「事実ですけど!?」
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