幽霊姫は止まれない!

第十四話 これが伏兵ってやつですか

 何かを訴えるようにジッと目を見つめながらそんなことを言われるが、オスキャルの言いたいことが理解できずぽかんとしてしまう。そんな私にますます項垂れてしまったオスキャルはぽつりと零すように口を開いた。

「危機感が足りません」
「あら。ソードマスターの護衛騎士が側にいるのにこれ以上どう警備を強化するのよ」
「俺とふたりきりなんですよ」
「そりゃ十人ほどしかいないソードマスターの護衛がいるなら他に護衛騎士はいらないでしょう。オスキャルさえいれば私に他はいらないわ」
「ンンッ、護衛、護衛ですね、わかってます。ただ、エヴァ様には権力がありますが、俺には腕力があるんです」
「筋力もね」
「そういう意味じゃなくて……、ですから、俺がこの部屋に足を踏み入れる時は基本的にエヴァ様が脱走してもう部屋にはいないんですってさっき言いましたよね!?」

 そこまで言われてやっとオスキャルが言いたいことを理解した。
(なるほど。女性とふたりきりという状況が恥ずかしいんだわ)
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