幽霊姫は止まれない!
 戦力を削りたくて暗殺を狙われたとしても武力で彼らに勝つのは至難の業だ。ならば色仕掛け、というのは残念ながらある意味もっとも手っ取り早く、より成功率が高かった。
(実際に色仕掛けへ乗った結果、殺されたって事例も過去にあるって聞いたしね)
 妻が一般人ゆえに逆に油断したのか、それとも自身が謀られただけでそこに愛がないことを実感し失望したのか。
あっさりとソードマスターが殺されたという事件があり、その事件をきっかけにこの『結婚相手は自国の人間でなくてはならない』という制約が作られたのである。少なくとも自国の相手ならば、戦力を削る目的も戦力を他国に流そうとする理由もないからだ。もちろん物事に絶対なんてものはないけれど、それでも可能性をグッと低くすることが可能なのである。

「どうせオスキャルはこの国で恋人探しなんて出来ないんだから構わないでしょう?」
「俺のメンツはどうでもいいんですか」
「なによ。私と恋人同士はそんなに嫌なの」
「エヴァ様だからより拒否しているんですけど」
「ちょっと。どういう意味よ」
「いえ。どうせ説明しても伝わらないんでいいです」
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