無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
本社に戻ることを考えるたび、いつもこうだ。

ここに赴任するまで抱えていたストレスは、自覚していた以上に大きかったと実感する。

「じゃあ、これラッピングしますね」

「あ、うん、お願いします」

バックヤードに向かう背中を見つめながら、美月はそっと息を吐く。

今日はこれから送別会だ。暗い顔をしている場合じゃない。

大学入学と同時に働き始めてくれたふたりのために、おいしい料理を用意しなければ。

常連さんを始め、航空祭をきっかけにして仲良くなったイーグルファンも何人か来てくれると聞いている。

本当なら三月の卒業まで働いてほしいところだが、三月に控えた管理栄養士の国家試験に備えて勉強に専念するらしい。

体調を整える意味もあり、仕方がないと本人たちも残念がっていた。

今年最後の営業も、あと一時間足らず。

彼女たちのためにいい送別会にしようと、美月は気持ちを切り替えた。

「いらっしゃいませ」

店内に響いた声に視線を向けると、見覚えのある顔がドアを開き、覗き込むように立っていた。

「え、どうして……?」

美月は目を凝らし、見つめた。
 
店の入口に、木島が立っているのだ。厳しい表情で店内を見回し、美月を見つけた途端眉を寄せ、口もとをゆがめた。

「いらっしゃいませ。おひとり様でしょうか。こちらへどうぞ」

すると木島はバイトの女の子の案内を無視し、つかつかとカウンターにやって来た。そして美月の正面の席に勢いよく腰を下ろした。

「木島さん、あの……?」

平然としている様子から、木島は偶然ここに来たわけではなく美月に会いに来たようだ。

どうしてここにいるとわかったのだろう。

顔を合わせた時に伝えた覚えはなく、碧人が話したとも思えない。

「へえ、ここが航空祭の時に話題になったカフェなのね」 

どこかバカにしているような声に、美月は顔を強張らせた。

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