無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
それはまるで美月のために考えられたような制度だ。

その制度を利用することができれば、碧人の転属先に同行しても、スムーズにでカフェの仕事を続けられる。

「気になるなら面談の時に聞いてみたらどうだ?」

「そうします」

美月は顔をほころばせ、膝の上に置いた手で小さくガッツポーズをつくった。




「美月は本当にそれでいいのか?」

碧人の探るような言葉に、美月は何度目かの「いいんです」を口にした。

昨日、都内にある本社での人事部との面談を済ませて以来、美月は碧人から何度も面談の内容を確認されていた。

「イギリス赴任、受けてもいいんだぞ。蓮人なら俺の両親に来てもらうこともできるし、日葉里さんにも手を貸してもらうことになるが、なんとかする。だから今度こそ――」

「それはもういいんです。イギリスに行きたかったのは今の仕事を知る前の話。今はカフェを盛り立てていくことが面白くて赴任は考えられません」

「だけど、せっかくのチャンスをまた俺のせいで」

「違います。碧人さんのせいじゃないですよ」

予想していたとはいえ碧人の美月への罪悪感ともいえる後悔はかなり大きかった。

今日の面談では席に着いた早々イギリス赴任の話を切り出され、最初から最後まで戸惑いの連続だった。

美月に代わってイギリスに赴任した社員が任期を終え帰国するので、代わって赴任しないかと打診されたのだ。

イギリス支社の業務拡大に伴って人員を相当数増やすらしく、美月以外にも数人の赴任がすでに決まっているそうだ。

美月の能力を評価してのことで是非にと請われたが、迷うことなくその場で断った。

前回赴任を辞退し迷惑をかけたことを考えれば打診を受けるべきかも知れないが、どうしてもそれはできなかった。

カフェというよりもカフェという器を通じてたくさんの人を笑顔にできる空間と時間を提供する。

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