無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「F―15戦闘機のパイロットはもっとも優秀な戦闘機パイロットで、イーグルドライバーって呼ばれているんだ」

「えっ?」

不意に背後から聞こえた声に振り返ると、今まで厨房で調理を手伝っていた岡崎が立っていた。

「乗るにはF―15のパイロット資格が必要らしい」

客に届けられたプレートの絵を遠目に見ながら、岡崎が言葉を続ける。

「それなら、私も知ってますよ」

美月はわずかに胸を張り答えた。

「こっちに異動が決まった時に少し調べたので。イーグルドライバーって呼び名もカッコいいですよね。岡崎さんは航空祭に行ったことはあるんですか?」

「いや、今日でわかったと思うけど、店が忙しくてそれどころじゃないからな。近くて遠い小松基地ってとこだな」

岡崎は優しい笑みを浮かべ、クックと笑う。

スラリとした長身に黒いカフェエプロンがよく似合っていて、まるでモデルのようだ。

テーブル席からこっそりと岡崎にスマホを向けている女性もいる。

「イーグルじゃなくて岡崎さんが目当ての女性もいるみたいですね」

岡崎は本社にいた時も整った面差しとスタイルのよさ、そしてなにより優しい人柄で女性からの人気は抜群。

仕事もできるとなれば、結婚相手としては文句のつけようがない。

異動が決まった時にはがっかりする女性がかなりいて、ちょっとした話題にもなった。

「せっかく小松に来たのに航空祭に行けないのは残念だな。だったら来年は臨時でバイトを増やして、一緒に見に行くのもいいかもな」

岡崎の冗談交じりの声に、美月は軽く肩をすくめた。

仕事最優先でいつも自分のことは後回しの岡崎が、忙しい時期に店を留守にするとは思えない。

「見に行けるなら行ってみたいですよね。蓮人が大好きなブルーインパルスも飛ぶみたいだし」

< 21 / 137 >

この作品をシェア

pagetop