無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
あの日松島基地で碧人のラストフライトを見て以来、蓮人はそれまで以上にブルーインパルスに夢中で、週に何度もふたりで飛行映像を見ている。
「れん君、本当にブルーインパルスが好きだな」
「そうなんです。一度実際に見てからはとくに。また見たいってお願いされてます」
「だったらやっぱり、来年は航空祭に連れて行ってあげたらどうだ? 俺も来年が最後になるだろうし、三人で一緒に――」
「すみませーん。注文いいですか?」
「あ、はい。すぐに行きます」
カウンター近くのテーブル席から声をかけられ、美月はハンディを手に急いだ。
岡崎がなにか言いかけていたのが気になるが、注文を聞く方が先だ。
それはわかっていても、頭の中からブルーインパルスと碧人の笑顔が消えず、落ち着かない。
普段は意識して思い出さないようにしているが、航空自衛隊のファンであふれた店内にいると、どうしても思い出してしまう。
碧人は今、どこでなにをしているのだろう。
空を飛んでいるのだろうか。
自分ではコントロールできない、ふとしたタイミングで頭の中をよぎる思い。
同時に思い出すのは、あの日綺麗な女性とハグしていた碧人の満ち足りた笑顔。
遠慮のない親しげな様子、そして指にマリッジリングが光っていた事実を考えれば、彼女は碧人の妻のはず。
碧人は彼女と結婚したのだ。そして自分が碧人と顔を合わせる機会はこの先二度とない。
受け入れなければならない現実に、胸に鋭い痛みが走る。
「お決まりですか?」
美月はひっそり深呼吸して気持ちを落ち着けながら、客に笑顔を向けた。
翌日も航空祭を楽しんだ多くのファンがカフェを訪れ、フォンケーキは閉店を待たず完売した。
SNSでは航空祭の写真に混じってカフェの様子やシフォンケーキの写真が数多く投稿され、盛り上がっていた。
「れん君、本当にブルーインパルスが好きだな」
「そうなんです。一度実際に見てからはとくに。また見たいってお願いされてます」
「だったらやっぱり、来年は航空祭に連れて行ってあげたらどうだ? 俺も来年が最後になるだろうし、三人で一緒に――」
「すみませーん。注文いいですか?」
「あ、はい。すぐに行きます」
カウンター近くのテーブル席から声をかけられ、美月はハンディを手に急いだ。
岡崎がなにか言いかけていたのが気になるが、注文を聞く方が先だ。
それはわかっていても、頭の中からブルーインパルスと碧人の笑顔が消えず、落ち着かない。
普段は意識して思い出さないようにしているが、航空自衛隊のファンであふれた店内にいると、どうしても思い出してしまう。
碧人は今、どこでなにをしているのだろう。
空を飛んでいるのだろうか。
自分ではコントロールできない、ふとしたタイミングで頭の中をよぎる思い。
同時に思い出すのは、あの日綺麗な女性とハグしていた碧人の満ち足りた笑顔。
遠慮のない親しげな様子、そして指にマリッジリングが光っていた事実を考えれば、彼女は碧人の妻のはず。
碧人は彼女と結婚したのだ。そして自分が碧人と顔を合わせる機会はこの先二度とない。
受け入れなければならない現実に、胸に鋭い痛みが走る。
「お決まりですか?」
美月はひっそり深呼吸して気持ちを落ち着けながら、客に笑顔を向けた。
翌日も航空祭を楽しんだ多くのファンがカフェを訪れ、フォンケーキは閉店を待たず完売した。
SNSでは航空祭の写真に混じってカフェの様子やシフォンケーキの写真が数多く投稿され、盛り上がっていた。