無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
おかげで航空祭以降もSNSを見たファンがカフェを訪れるようになり、忙しくも充実した日々が続いている。

カフェに異動してきた当初は裏方としてカフェの運営を担うだけだったが、店に出る機会が増えたことで、常連さんと親しくなり顔なじみも増えた。

異動してきた直後は蓮人を育てていけるのかどうか不安ばかりだったが、今では本社にいた頃よりも笑顔が増えなんとかなると思えるようにもなった。

ふとした時に碧人を思い出しては胸を痛めることはあれど、こればかりは時間が解決してくれるはず。

なにより碧人には大切な女性がいるのだから。

まずは蓮人を幸せにすること。

 
美月は新しい場所で新しい人生が始まっているのだと、改めて感じていた。





十月に入り、シフォンケーキ人気も落ち着き客足も少しずつ以前の数に戻りつつあった。

週末も美月や岡崎たち社員のうちひとりかふたりとバイト五人ほどで店を回す通常のペースを取り戻し、店内の装飾もハロウィン仕様に変更した。

壁には蓮人が通う保育園の園児たちが描いたかぼちゃやお化けの絵が貼り出され、各テーブルやカウンターにもハロウィンにちなんだ置物が並んでいる。

メニューに期間限定のカボチャ料理がいくつか加わって、どれも好評だ。

「かぼちゃ、いっぱーい」

「そうだね。れん君かぼちゃが大好きだよね。でも今はサンドイッチを食べてね」

美月はそう言い聞かせながら、店の最奥のテーブル席に蓮人を座らせた。

蓮人は子ども椅子にすっぽり収まり、オレンジが目立つ店内をキョロキョロ眺めている。


日は月に一度程度回ってくる日曜出勤の日。保育園は休みなので蓮人を伴い出勤した。
 前回は日葉里が蓮人を預かってくれたが今日は旅館が忙しいらしくて頼めず、岡崎やバイトの面々も快く承知してくれたので、好意に甘えさせてもらったの
だ。

「お茶も飲もうね」

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