無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「うん。おちゃー」

朝早く起こされた蓮人はまだ少し眠そうだが、久しぶりのカフェに興味津々、ご機嫌だ。

美月が朝食に用意したサンドイッチに早速手を伸ばしている。

「ママはお仕事だから、お利口さんにしていてね」

「んー」

理解しているのかいないのか、蓮人はもぐもぐとサンドイッチを頬張りニッコリ笑う。

美月は持参した絵本やスケッチブック、そして大好きなブルーインパルスが特集された雑誌をテーブルに並べた。

今日は十三時までの勤務だが、それまであと五時間を機嫌よく過ごしてくれるのを願うのみだ。

「あら、れん君久しぶりね。ご一緒してもいいかしら?」

楽しそうな声に顔を向けると、ひとりの女性が立っていた。

「おはようございます」

優しい笑顔を蓮人に向けている女性は、近所に住む佐々木だ。

普段からよくモーニングを食べに来る子ども好きの常連で、蓮人のことも可愛がってくれている。

先月、家族から喜寿を祝ってもらったと言っていたが、背筋はピンと伸びていて肌も艶々。

その年齢とは思えないほど若々しい。

「美味しそうなサンドイッチを食べてるのね。私はホットケーキをいただこうかしら」

佐々木は美月にそう言って、蓮人の向かいの席に腰を下ろした。

「かしこまりました。飲み物はいつものミルクティーでいいですか?」

「ええ、お願い。こちらの紅茶はおいしくて、いつも楽しみなのよ」

「ありがとうございます。急いで用意しますね。……れん君、ここでいい子にしていてね」

美月はパンくずがついた蓮人の口もとをティッシュで拭いながら、言い聞かせた。

蓮人はどちらかといえば聞き分けがよく手がかからないが、まだ三歳にもなっていない。そのうちぐずぐず言い出すはずだ。

「ここにブルーの写真があるからね」

美月は持参した雑誌を開いた。

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