無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
航空祭の前後で何度もイーグルという言葉を耳にして、ブルーだけでなくイーグルにも興味津々なのだ。

「そうか……蓮人君はブルーもイーグルも好きなのか」

碧人は感慨深げにそうつぶやくと、思いつめた目を蓮人に向け、ひと目で震えているとわかる手をゆっくりと蓮人の頰に伸ばした。

その切なそうな横顔に美月が息をのんだ時。

「悪い」

岡崎が現われ、碧人は動きを止めた。

「ここはお客さんの出入りがあるから、話をするなら奥の席でしたらどうだ?」

「すみません。でも、私たちはすぐに帰りますから――」

「さっく、こっち、こっちー」

「え、れん君?」

岡崎の言葉を理解したのか、蓮人は美月のことなどおかまいなしに碧人の手を引くと、さっさと店の奥の席へと向かっていった。

いつも美月の仕事が終わるのを待っている席だ。

碧人は困り顔で美月を振り返るが、抵抗することなく蓮人について行った。

「有坂? 彼ってこの間の」

岡崎の心配そうな声に、美月は我に返り笑顔をつくる。

「そうなんです。えっと……高校時代の先輩で。偶然そこで会って」

「高校時代の?」

「はい。……先輩です」

噓は言っていない。

ただ肝心なことを飛ばしているだけ。

「岡崎さん?」

黙り込んだ岡崎を、美月は蓮人達を気にかけながらチラリと見る。

「いや。あの奥の席なら込み入った話も大丈夫だろ……それにれん君も慣れてるから」

「すみません。でも、すぐに帰ります」

この思いもよらない展開にどう応えればいいのかも、碧人となにを話せばいいのかもわからない。

「コーヒーでいいか? あと……なにかあったら声をかけてくれ」

「ありがとうございます」

自分事のように深刻な表情を浮かべる岡崎に申し訳なく思いながら、美月は蓮人と碧人が待つテーブルへと足を向けた。

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