無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
「十二月一日です。次の誕生日で三歳になります」

「三歳……そうか。あれから三年以上経つのか」

〝あれから〟というのは、友人の結婚披露宴が行われたホテルで偶然顔を合わせた日にことだ。

「そういえば、あの時イギリスに赴任するって言っていたよな。蓮人君も連れて行ったのか? もしかして、向こうで出産したのか?」

「それは、あの、蓮人は日本で。それにイギリスには結局……」

「結局? まさか」

碧人は事実を察したのか、苦しげに口もとを歪めた。

「赴任、できなかったのか?」

「……はい」

蓮人が気を使わないようにごまかすべきかと悩んだが、いつかはばれるはず。

「赴任の話はなくなったんです」

正直に答えた。

「なくなった……妊娠したからだよな」

「違うんですっ」

呆然とする碧人に、美月は身を乗り出し首を横に振る。

「もしも赴任できたとしてもイギリスで出産するのもひとりで育てるのも現実的じゃないから。上司と相談して辞退を決めて。後輩が代わりに赴任しました」

「あれだけ楽しみにしていたのに、辞退って。俺のせいだな、ごめん」
 
碧人は肩を落とし、うなだれた。

「このカフェには異動かなにかで? 調べたけど藤崎商事が経営してるんだよな」

力ない碧人の声に、美月はコクコクとうなずいた。

「商社での仕事は海外との時差があったり出張も多かったりで、蓮人を育てるのは難しくて。ちょうどカフェ事業部に移らないかと話があったのですぐにOKし
てここに」

美月は明るい声を意識し、説明した。

「今までとは畑違いの仕事ですけど、意外に向いていたみたいで楽しいんです。お客さんに蓮人も可愛がってもらって元気に育ってます」

「だったら、よかった。……いや、違うな。俺のせいで美月の人生を変えてしまったのは事実だ。それも二度も」

「二度?」

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