無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
甘い物にも流行りにも興味はないが、カフェの近くの同僚の家に出産祝いを届けに行った帰り、思いつきで同僚隊員たちと寄ってみたのだ。

そして美月と再会し、蓮人の存在を知った。

同僚たちの後から店に足を踏み入れた途端、目に入ってきた美月の姿。

まさか日本にいるとは思わず、幻でも見ているのかと動揺した。

今も思い出すとその時の衝撃が蘇ってくる。

「さすがに戦闘機はこれに載ってないよな」

榎本は乗り物図鑑を指さし苦笑する。

「まあ、乗り物というカテゴリーには入らないだろ」 

碧人はクスリと笑う。

戦闘機は教習所に通えばたいていの人が免許が手に入る自動車とは訳が違う。

「たしかにな。パイロットの俺が言うのも妙だけどさ、戦闘機の存在なんて意識しない目にしない毎日ってのがベストだよな」

「そうだな」

碧人は榎本に同意すると、乗り物図鑑を開き目を通す。

自動車はもちろん電車やバス、最近話題の電動キックボードまで掲載されているが、もちろん戦闘機は載っていない。

それでいい。

ブルーインパルスに夢中でイーグルの模型に喜んでいた蓮人。

榎本の息子のように成長するにつれて興味は他に移り、戦闘機の存在は日常から遠い場所へと追いやられるはずだ。

そうであってほしい。

戦闘機パイロットとしての責任と誇りはもちろん持っているが、自分たちの出番などない日常。

最終的にはそれを求めて日々訓練に励み、外敵の脅威と対峙し続ける。

それが碧人が任務に就く目的であり、信念だ。

それにしても。

碧人は図鑑の傷み具合に思わず笑みを浮かべた。

かなりのお気に入りのようだ。

誕生日は十二月一日だと言っていたが、新しい図鑑を用意してプレゼントしてもいいだろうか。

美月に一緒に暮らしたいと伝えたが、答えはまだもらえていない。

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