無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
再会してから日が浅すぎる中での強引な申し出だったと自覚しているが、考えに考えて決めたこと。

もしも断られたとしても、彼女と蓮人の人生になんらかの形で寄り添うつもりだ。

蓮人の誕生日を一緒に祝い、新しい人生を始めたい。

その時。

ジジジジジジジッ――。

けたたましい音が鳴り響いた。

緊急発信を告げるベルだ。

デスクの電話も鳴り響き、飛行管理員が間を置かず受話器を取る。

「スクランブル!」

飛行管理員の叫び声を最後まで聞くことなく、碧人は榎本とともに待機室を飛び出しダッシュでハンガーに向かって駆け出した。

スクランブル発進は二機で飛び立つのが鉄則。

リーダーパイロットの碧人と、補佐的な役割を担うウィングマンの榎本。ふたりは命を預け合っている。

絶対に失敗してはならない任務。

失敗すれば、二度と戻ってこられないかもしれない。

そしてそれは、美月と蓮人に二度と会えないということだ。
 
離陸まで五分。

碧人は発進までのプロセスを頭の中で確認しながら、ジェット噴射が始まっているイーグルに全力で向かった。


*  *  *



碧人から同居をもちかけられて二週間。

美月はまだ答えを出せずにいた。

碧人の勤務が不規則でなかなか会えないのもあるが、どうするのが碧人にとって、そして蓮人にとってベストなのかがわからない。

蓮人との交流を断るつもりはなく親子としての関わりを求められれば応じるつもりだが、ラストフライトの時に花束を抱えて現われたあの女性のことが気になって仕方がないのだ。

数日前に発売されたブルーインパルスの一年間のフライト記録を掲載した雑誌にも、碧人のラストフライトのシーンがかなりのページを使って掲載されていた。

飛行の様子はもちろん、降機時の晴れ晴れとした表情は思わず見とれるほどカッコよかった。

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