無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
碧人が事前に用意してくれていたチャイルドシートに蓮人を座らせながら、美月は言葉を濁す。

「もう少し一緒にいたいんだ」

「でも、私」

「蓮人に渡したい物もあるから、どうかな」

「えっと」

碧人は運転席から振り返り、車内をキョロキョロと眺めている蓮人に優しい眼差しを向けた。

「そう……ですね。じゃあ、少しだけお邪魔させてください」

碧人にしてみればようやく会えた我が子だ、いくらでも一緒にいたいはず。

今まで蓮人のことを伝えずにいたことを思い出して、美月は力なくうなずいた。

「ありがとう」

碧人の明るい声に、美月は罪悪感で胸がチクリと痛むのを感じた。

そして碧人のプライベートに踏み込むことに緊張し、膝に置いた手を強う握りしめた。



碧人の自宅は基地から車で十五分程度の場所にある五階建てのマンションだった。

各階三戸で碧人の家は五階の最奥。2LDKの室内は日当たりがよくとても広い。

突然の展開に緊張しながらリビングに入ると、ソファやダイニングテーブル、書棚など必要最低限の家具はそろっているものの、全体的に物が少なくすっきりしていた。

「コーヒーでいいか?」

「あ、私が」

キッチンから聞こえた碧人の声に、美月は慌てて腰を上げた。

「いや。蓮人が寝てる間くらいゆっくりしたらいいよ」

「……ありがとうございます」

遊び疲れたのか蓮人は車の中で眠ってしまい、今もソファの上でぐっすりだ。

美月は碧人が用意してくれたブランケットを、蓮人にそっとかけた。

「蓮人、さすがに疲れたみたいだな」

「そうですね。最近はお昼寝もあまりしなかったんですけど」

蓮人はスースー寝息を立て、まだまだ起きそうにない。

「気持ちよさそうに、眠ってます」

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