無口な自衛官パイロットは再会ママとベビーに溺愛急加速中!【自衛官シリーズ】
美月は写真とドライフラワーをぼんやりと見つめた。

「それ、俺のラストフライトの時の写真。今年の三月」

コーヒーを載せたトレイを手に、碧人が美月の隣に腰を下ろした。

「取り上げてもらえるのはありがたいけど、扱いが大袈裟すぎて、他の隊員に申し訳ないんだよな」

「そんなこと。ラストフライトは記念だし……」

気のせいかうんざりしているような碧人の声音に、美月は首をかしげた。

「それにどの写真もすごく素敵です。この花束贈呈の時の写真はとくに……そう思います」

自分以外の女性との写真を褒めるのもどうかと思うが、事実この写真の碧人が一番いい顔をしている。

「ああ、これ。……実は俺も結構気に入ってる」

碧人は写真を眺めながらふっと笑みを浮かべた。意味ありげなその眼差しに特別な想いを感じて、美月は身体を強張らせた。

やっぱり彼女は碧人の特別な人。

ドライフラワーのことを考えてもそうとしか思えない。

「美月?」

碧人は黙り込んだ美月の顔を、心配そうに覗き込む。

「いえ、なんでも。私もこれを持っていて、蓮人と一緒に眺めてます」

「これを?」

「はい。ブルーインパルスの写真が満載で蓮人も喜ぶので。毎年買ってます」

落ち込んでいると悟られたくなくて、美月は思いつくまま笑顔で言葉を並べた。

「蓮人、ブルーが大好きだもんな」

ソファの上で眠る蓮人を見つめ、碧人は愛おしげにつぶやいた。

「一度くらい、俺のフライトを見せたかった」

「あ……」

続く碧人の切なそうな声に、美月はハッと息をのむ。

「いや。……悪い。深い意味はないんだ。蓮人がブルーのファンだってことだけで十分」

美月を気遣ってか、碧人は言葉を重ねた。

「でも」

その言葉に噓はないとしても、残念な気持ちも強いはずだ。蓮人がブルーのファンだと知ったなら、なおさらそうだろう。

「あの、実は……」

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