パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 すると突然、瑞月がこちらにやってきて、私の服の袖を引っ張った。

「ママ、おトイレ」

 その一声で、一気に現実に引き戻された。

「琉星、ちょっと来て!」

 私は足元で石を拾っていた琉星を抱き上げようと、手を伸ばした。

 どちらかがトイレに行くなら、ふたりとも連れて行かねばならない。子どもをひとりきりにはできないからだ。

 しかし、伊澄さんが私を制した。

「いいよ、俺が一緒にいる」
「でも……」

 すると瑞月が「ママ、はやくー」とトイレの方へ駆け出す。仕方ない、ここは彼に甘えよう。

「ごめんなさい、ちょっと行ってきます」

 私はそう言うと、慌てて瑞月を追いかけた。

 間一髪、瑞月のトイレを済ませて先ほどの場所に戻ると、琉星はまだ石を拾って遊んでいた。
 伊澄さんもその場にしゃがんで、一緒になって地面を見つめている。

「すみません、伊澄さん。戻りました」

 そう言うと、琉星が得意げに私に手元の石を見せてきた。

「ママみて! いすみのひこうきのいし!」

 それは、三角形の石。細長い形が、戦闘機に似ていなくもない。
< 113 / 292 >

この作品をシェア

pagetop