パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 ようやく見つけた脇道を入ると、目の前にTー7が現れた。あれは、自衛隊パイロットの練習用プロペラ機だ。私の勤め先にも置いてある。
 どうやらここは駐機場とは別の、地上展示をしている場所らしい。

 もうすぐブルーインパルスの展示飛行が始まるからか、この辺りにひとけはない。少し、休ませてもらおう。

 よろよろとしながら建物の陰に入る。すると、急に吐き気がこみ上げた。
 壁に左手をつき、芝生にしゃがみ込む。

「どうかなさいましたか?」

 低く優しい男性の声がして、私は顔を上げた。

 隙なく着こなされた、青い隊服。
 はっとした。帽子が影になり顔は見えないが、この服装をしているということは、彼はブルーインパルスの方だ。

「大丈夫です」

 ご迷惑をかけるわけにはいかない。私は無理やり口角を上げ、彼に見せた。

「無理しないでください。熱中症かな?」

 彼はそう言うと、芝に膝をつき私の顔を覗き込んでくる。私は思わず、目をしばたたいた。

 短いツーブロックの髪に、整った顔。
 すごくかっこいい人だ。
< 12 / 292 >

この作品をシェア

pagetop