パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 私は思わず、瑞月にしーっと人差し指を立てた。しかし、琉星ももじもじしながら「ぼくも」と言う。

「すみません伊澄さん、急いで行ってきますね」

 慌ててそう言うと、伊澄さんは当たり前のように琉星に手を伸ばした。

「琉星くんは、俺が連れていくよ」
「大丈夫です! 私が連れていきますから」

 伊澄さんを振り切るように、琉星の手を引く。
 それから、険しい顔をこちらに向ける楠木さんを見ないようにして、私は早足で子どもたちをお手洗いへ連れて行った。


 子どもたちのトイレを順番に済ませながら、楠木さんに言われたことが胸につかえていた。 

『色んな任務で気を張る戦闘機のパイロットに、子どもがいるからって甘えてちょっかいをかけるのは、どうかと思います』

 伊澄さんはいつも、当たり前のように子どもたちと接してくれる。今だって、当然のように琉星をトイレに連れていこうとしてくれた。

 だけど、伊澄さんは戦闘機パイロットだ。それも、若くしてブルーインパルスに抜擢されるほどの腕前。
 楠木さんの言うように、私の知り得ない任務も数多くこなしているはずだ。
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