パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 だけど、胸にやってきたざらりとした感情は、消えるどころかどんどん増してしまう。
 先ほど聞こえた会話に、気づかされたのだ。

 伊澄さんは〝父親としての責任〟を感じて、私たちに向き合ってくれているのかもしれない、と。

『あの人が勝手に産んで、勝手に育てたんですよね? なのに、空賀三佐が責任を感じる必要あります?』

 楠木さんの言う事は正しい。瑞月も琉星も、伊澄さんに黙って産み、勝手に育てたのだ。
 彼は私に、愛したいと伝えてくれた。だけど――。

『今まで、千愛里が抱えてきたことを、俺も一緒に持ちたいんだ』
『千愛里がひとりで頑張ってきたことを知って、これからは千愛里を支えたいと思った』

 あの日の彼の言葉をひとつひとつ思い出すと、余計に彼の胸の内にあるのは〝父親としての責任感〟なのではないかと思えてくる。
 彼のくれた言葉はどれも、子どもたちを抱え生きてきた私を慮る内容だった。

「ママ、わすれものあった?」

 洗面台に手をつき、自分ばかりになっていた情けなさにため息をこぼしていると、瑞月がそう言って私の服の裾を引っ張った。
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