パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「ありがとう」

 私が目をまたたかせている間に、伊澄さんはそう言って去って行く。

「ばいばーい」

 伊澄さんの車に、瑞月と琉星が無邪気に手を振る。

 彼の気持ちを受け取ることが、彼にとって負担になってしまうのなら。
 私は子どもたちと手をつなぎながら、伊澄さんとの未来を模索していた。


「千愛里ちゃん、やってるね」

 今日も次のフライトの資料を見直していると、フライト終わりの丸部キャプテンがやってきた。今日の茨城空港便は、丸部キャプテンの担当だ。

「お疲れ様です、どうぞ」

 言いながら、私はいつものように彼にタブレット端末を手渡す。

「今日は特記事項なし、か。寂しいねえ」

 丸部キャプテンがそう言って、私のつけた付箋をぺらりとめくった。

「今日は雲ひとつないし、風も弱いですから。絶好のフライト日和ですね」

 そう言うと、丸部キャプテンはくすりと笑った。
 今日の付箋には、機長が丸部キャプテンだと分かっていたから彼のイラストを描いたのだ。
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