パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「今日はもう遅い。出ていくのは明日でいい」

 まだ顔色の悪い父が、そこに立っていた。
 父は、私の足元にいた子どもたちを一度見下ろし、表情を変えぬまま私に向き直る。

「パスタもミートソースも、キッチンのキャビネットに入っている」

 父はそれだけ言うと、もう一度襖をぴしゃりと締めてしまった。
 だけどこれはきっと、食べていいということだ。

 父のぶっきらぼうな愛情をそこに感じ、なんだか心が解けてゆく。

「ごはん、今から作るね。あそこのお椅子で待っていられる?」
「おじさんと、お話していようか」

 ふたりに告げた時、水島さんが子どもたちにそう言ってくれた。

「千愛里ちゃん、君に結婚を押しつけようとした詫びにはならないかもしれないけれど、このくらいはさせて欲しい」

 水島さんはそう言って、困ったように笑う。

「ありがとうございます」

 私は水島さんの厚意をありがたく頂き、キッチンへと向かった。
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