パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「伊澄さん……」

 見上げた彼は、冬の日差しの下で複雑そうな顔をする。
 そんな顔をさせているのが自分なのだと思うと、やりきれない。彼の想いを聞いたからこそ、彼には空を飛んでほしいと思う。

「私、やっぱり空を飛ぶ伊澄さんが好きです」

 言いながら、つなぐ手に力を込めた。
 あの頃とは違う。彼の想いを知って、飛ぶ理由と使命感を知って、改めて空を飛ぶ伊澄さんがかっこいいと思ったのだ。

 すると伊澄さんは、つないでいた私の手を解き、そっと肩を抱き寄せてくれる。

「少しでも不安を拭えるならと考えたんだが――もし千愛里が不安になったら、いつでもこうして寄り添おう。そばにいるんだと、感じて欲しい」

 彼の言葉から、本当に私を想ってくれているのだと伝わってくる。
 不安がなくなったわけじゃない。だけど、こうして気持ちに寄り添ってくれるだけで、私はこんなに安心する。

 かっこよくて優しい彼と、改めて共に生きたいと思う。

「はい」

 想いを込めてそう答えると、私の肩を抱く伊澄さんの力が強くなる。
 見上げると、すぐ近くで視線がかち合った。
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