パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 彼は伊澄の迷いをまだ知らないらしい。
 清水は次の瞬間には、なんてことないように、「うめえ」と再び空上げを頬張っていた。

「そうか、ありがとう」

 伊澄は王子様然とした笑みを崩さずそう言うと、続きを口に運んだ。

 だけど、胸の奥は複雑だった。今は『憧れ』と言われるような心境にない。

 仮眠を取り、アラート待機に戻る前、伊澄はスマホを取り出した。

 あの日以降、千愛里が少しでも不安を和らげてくれるならと、伊澄は空いた時間があれば千愛里にメッセージを送っている。

 もちろん、今もそのつもりだった。だけど、今日は珍しく、千愛里からのメッセージが届いていた。

【きちんと、お話したいことがあります。明日、お会いできないでしょうか?】

 その瞬間、心が凍てつくのを感じた。

 まさか、突然別れを切り出されるなんてことはないだろう。だけど、内容が分からないからこそ不安になる。
 やはり、自分の仕事のことが気がかりなのだろうか。
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