パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「キッスミー、ベイベー」

 伊澄さんが歌に合わせて口ずさみ、私は思わずふふっと笑ってしまった。

「すみません、なんだか楽しくて」
「俺もだ。きっと千愛里の、何倍も楽しみにしていた」 

 彼はステアリングを握ったまま、笑顔でそう言った。

 何度かの休憩を挟み、目的地に着く頃にはすっかり日が傾いていた。やってきたのは、瀬戸内海沿いに佇む大きな旅館だ。

「疲れてない?」

 彼は車を止めるとそう言って、私の顔を覗き込む。

「はい。むしろ、伊澄さんのほうが――」

 最後まで言えなかったのは、彼に唇を奪われてしまったからだ。
 思わぬ彼の行動に目をぱちくりさせていると、彼はくすりと笑う。

「では参りましょうか、お姫様」

 伊澄さんの予約してくれた部屋からは、瀬戸内海が一望できる。露天風呂もついている、贅沢なお部屋だ。

 私たちは海の幸たっぷりの夕食をお部屋でいただくと、順番にお風呂もいただいた。
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