パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 淡いピンクに松竹梅の描かれた振袖は、私の気持ちと違って大げさなほど煌びやかだ。
 父もいつもの硬い顔のままで、私は締められた帯に息苦しさを感じた。

 やがて、小松市きっての料亭に連れてこられる。車の中で、父は相手のことを教えてくれた。

神崎(かんざき)電機工業という会社の息子さんだ。くれぐれも、失礼のないように」

 父の言葉に、静かに頷いた。
 だけど、まだ顔合わせだ。もしかしたら、向こうも結婚を望んでいないかもしれない。できれば、そうであって欲しい。

 料亭の奥の個室に通され、どうか温和にこの時が終わりますようにと祈りながら、ひとり身を縮こませる。

 やって来たのは、紳士的だがどこか威圧感を感じさせる男性だった。歳は一回りほど上だろうか。
 不自然なほどきっちりと整えられた前髪の下には、つり上がった眉と目。不機嫌そうに結ばれた口元を見て、私はひっと息をのんだ。

 彼はそんな私を見るやいなや、私の下から上へと鋭い視線を這わせる。それから、ふっと小馬鹿にしたような笑いをもらした。

「思ったよりも、悪くない」

 彼は開口一番にそう言うと、かんに障るくらい綺麗な所作で、私の前に腰かけた。
< 57 / 292 >

この作品をシェア

pagetop