パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「神崎だ」
「帆風千愛里と申します」

 こみ上げてきたものを飲み込み、両手の先を合わせて彼に頭を下げる。
 心を無にした。なにかを考えたら、今胸にある色々な思いを一気に吐き出してしまいそうだ。

「家事は?」
「一通りこなせます」
「仕事は?」
「今は外で働いています」
「私と結婚したら、辞めるんだよな?」
「……はい」

 機械的な返答を繰り返す。面白くない人間だと思ってもらえたら、彼も嫌になってくれるかもしれない。
 そう思ったけれど、どうやら意味はなかったらしい。

「まあいいだろう。私の妻になれ」

 なんて高圧的な人だろう。彼はにこりとも笑わずに、そう言って立ち上がる。
 料亭にいるにもかかわらず、彼はなにも口にしないまま、これで話は終わりだ、と言うように出て行った。

 張り詰めた緊張を解くように、私は背を丸めた。同時に、色々な想いが湧いてくる。
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