パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 もし大雅との仲がばれてしまったら、長い間互いに想い続けてきたふたりの未来は絶望的だ。そんな恩を仇で返すような真似、絶対にしたくない。

 だから私は、黒木さんの優しさを受け取ることにした。なにも持っていない今の私は、差し述べられた手を取り、生きていくしかない。


 由芽さんの別荘に一晩お世話になり、翌朝迎えに来た黒木さんと共に空き家だという場所に向かった。

 茨城空港の南に位置するそこは、なんとなく小松と似ている。
 小松空港と同じく航空自衛隊の基地と滑走路を共用しており、隣には百里基地が広がっているからかもしれない。

 黒木さんは廃れた空き家だと言ったけれど、その実、小綺麗な平屋の一軒家だった。
 築三十年だというその家は、昔は人に貸していたが、子どもが大きくなったら譲るつもりだったという。
 そのお子さんが東京へ行ってしまったため、今は住人不在で空き家になってしまったのだそう。

 家の横には車が二台ほど駐車できるスペースもある。
 少し古さは感じるが、ここを貸していただけるとは、なんてありがたいことだろう。
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