パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「今日は千愛里ちゃんのメモが役に立ちそうだ」

 丸部キャプテンはそう言うと、私の手渡したタブレット端末に貼られた付箋をぺらりとめくった。

 付箋には、どのあたりで雨、雷、濃霧が起きそうかなどの、最新のデータを書き込んである。
 与えられた情報だけでなく、安全なフライトのためにできることをしたいと始めたことで、この仕事に慣れてきた頃からずっと続けている。

「ディスパッチャーさんとのお話で、結局いらなくなることの方が多いと思いますけど」

 そう言うと、彼はにこっと優しく笑った。

「そんなことないよ。この間も、メモのおかげでブリーフィング時に見落としに気づけたんだから」
「なら、良かったです」

 ブリーフィングとは、フライトの管理者であるディスパッチャーとパイロットがフライト前に行う会議のことだ。航路の天候や機体の状況などをすり合わせるらしい。

 茨城空港にはディスパッチャーは常駐しておらず、パイロットとはオンラインでやりとりをしている。だからこそ、ディスパッチャー補佐というこの仕事は、茨城空港には欠かせない。

 私の仕事は、ブリーフィング資料をまとめてパイロットに手渡す仕事なのだ。
< 88 / 292 >

この作品をシェア

pagetop