パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「前も言いましたよね。私はここで生きて行くんです」

 思い出してしまった彼の顔を胸の内に押し込めて、私はいつものように笑顔で彼にそう返した。


 仕事を終え、黒木さんのいる空港内のカフェでカフェラテをテイクアウトする。
 この仕事についてから、黒木さんに恩返しをしたいと思い、仕事終わりに毎回寄っているのだ。

 私はカフェラテを手に空港の展望デッキに出ると、向こうの百里基地を眺めた。

 滑走路の向こうに小さく見える戦闘機を見つめながら、今日も伊澄さんが幸せでありますようにと願う。
 これは、私の日課だ。

 彼は今頃、どこにいるのだろう。私は時折、考えてしまう。

 百里基地に配備されている戦闘機は、Fー2だ。
 航空自衛官のパイロットは二年に一度ほど転勤があるらしいが、彼が乗るのはFー15だから、ここに居ても会うことはないだろう。

 会えなくていい。会わなくていい。
 あれから時が過ぎ、私がこの地で生きてゆこうと誓ったように、きっと彼も前に進んでいるはずだ。
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