シンママ派遣社員とITコンサルの美味しい関係
第十二話「変化の兆し」
昼休み、カフェテリア。
「美咲。瀬尾さん、プロジェクトが終わっても、美咲のところによく来てるんじゃない? もしかして仲良くなった?」
友紀子は興味津々の様子で、美咲の顔を覗き込む。
「そんなことないわよ。ただ、ちょっとしたことで連絡を取ることがあるだけ」
「ふーん? でも、美咲って普段、仕事以外で男性と関わることほとんどないんじゃない? それなのに、瀬尾さんとは?」
「……別に特別なことは何もないわ」
そう言いながらも、美咲は週末のことを思い出していた。
瀬尾のマンションで、大翔と一緒に手料理をごちそうになった夜。
料理の美味しさに目を輝かせる大翔、淡々としながらもどこか満足そうだった瀬尾の表情。
そして、「何かあれば、いつでも連絡してください」という彼の言葉。
――確かに、今までの同僚とは少し違うかもしれない。
「ほら、やっぱり何かあるんじゃない」
「ないってば」
美咲は苦笑しながら、手元のお弁当をつついた。
「でもさ、瀬尾さんって、L4になったんでしょ? 28歳でしょ? 仕事もできて、若くて出世コースに乗ってて、モテそうよね」
「そうね。まあ、優秀なんでしょうね」
「美咲ってさ、そういうの、考えないの?」
「……どういう意味?」
「だから、その……瀬尾さんがもし美咲に気があるとして、何とも思わない?」
「ないわよ」
即答しながら、美咲は少しだけ苦笑する。
「だって、私は6歳も年上で、バツイチのシングルマザーよ? 恋愛対象になるわけがないでしょ」
「えー? でも、年齢とか関係なくない? そういうの、結局はフィーリングでしょ」
「それは、友紀子みたいに自由な立場だから言えることよ」
美咲は軽くため息をついた。
「私は、息子を最優先に考えなきゃいけないし、そもそも恋愛とか、そんな余裕ないのよ」
「……そっか」
友紀子は少し真剣な顔になり、「美咲は強いよね」とぽつりと呟いた。
「別に、強いわけじゃないわ。ただ、そういうものだから」
そう言いながらも、美咲の胸の奥には、ほんの少しだけ言葉にしづらい気持ちが残った。
本当に、全くそんな可能性はないのだろうか?
考えるつもりはなかったのに、ふと瀬尾の顔が頭をよぎった。
――何を考えてるのよ、私。
美咲は軽く首を振り、気持ちを切り替えようとする。
「まあ、瀬尾さんとは仕事仲間としてはやりやすいし、これからも連絡は取るかもしれないけど、それだけよ」
「ふーん……まあ、そういうことにしといてあげる」
友紀子はニヤニヤしながら言ったが、それ以上は追及しなかった。
美咲はようやく落ち着いて、お弁当の続きを食べ始めた。
「美咲。瀬尾さん、プロジェクトが終わっても、美咲のところによく来てるんじゃない? もしかして仲良くなった?」
友紀子は興味津々の様子で、美咲の顔を覗き込む。
「そんなことないわよ。ただ、ちょっとしたことで連絡を取ることがあるだけ」
「ふーん? でも、美咲って普段、仕事以外で男性と関わることほとんどないんじゃない? それなのに、瀬尾さんとは?」
「……別に特別なことは何もないわ」
そう言いながらも、美咲は週末のことを思い出していた。
瀬尾のマンションで、大翔と一緒に手料理をごちそうになった夜。
料理の美味しさに目を輝かせる大翔、淡々としながらもどこか満足そうだった瀬尾の表情。
そして、「何かあれば、いつでも連絡してください」という彼の言葉。
――確かに、今までの同僚とは少し違うかもしれない。
「ほら、やっぱり何かあるんじゃない」
「ないってば」
美咲は苦笑しながら、手元のお弁当をつついた。
「でもさ、瀬尾さんって、L4になったんでしょ? 28歳でしょ? 仕事もできて、若くて出世コースに乗ってて、モテそうよね」
「そうね。まあ、優秀なんでしょうね」
「美咲ってさ、そういうの、考えないの?」
「……どういう意味?」
「だから、その……瀬尾さんがもし美咲に気があるとして、何とも思わない?」
「ないわよ」
即答しながら、美咲は少しだけ苦笑する。
「だって、私は6歳も年上で、バツイチのシングルマザーよ? 恋愛対象になるわけがないでしょ」
「えー? でも、年齢とか関係なくない? そういうの、結局はフィーリングでしょ」
「それは、友紀子みたいに自由な立場だから言えることよ」
美咲は軽くため息をついた。
「私は、息子を最優先に考えなきゃいけないし、そもそも恋愛とか、そんな余裕ないのよ」
「……そっか」
友紀子は少し真剣な顔になり、「美咲は強いよね」とぽつりと呟いた。
「別に、強いわけじゃないわ。ただ、そういうものだから」
そう言いながらも、美咲の胸の奥には、ほんの少しだけ言葉にしづらい気持ちが残った。
本当に、全くそんな可能性はないのだろうか?
考えるつもりはなかったのに、ふと瀬尾の顔が頭をよぎった。
――何を考えてるのよ、私。
美咲は軽く首を振り、気持ちを切り替えようとする。
「まあ、瀬尾さんとは仕事仲間としてはやりやすいし、これからも連絡は取るかもしれないけど、それだけよ」
「ふーん……まあ、そういうことにしといてあげる」
友紀子はニヤニヤしながら言ったが、それ以上は追及しなかった。
美咲はようやく落ち着いて、お弁当の続きを食べ始めた。